愛知の老舗味噌蔵が伝授、知られざる『豆味噌』の魅力やおすすめレシピを大公開!

2022.10.05


豆味噌・赤味噌・八丁味噌と聞くと、頭にどんなイメージが浮かぶでしょうか。


もしかすると、愛知県外の方は「色や味が苦手」「自分で買うにはハードルが高い」と感じるかもしれません。


けれども、愛知県にある老舗「のだみそ株式会社(桝塚味噌)」が作る豆味噌は、県外の方や子どもから「食べやすい」と評判なんです。


そこで、のだみそ株式会社の4代目である野田さんにインタビューさせていただきました。この記事では、多くの方の豆味噌イメージをガラリと変えてきた秘密やおすすめの調理方法までたっぷり紹介します。

のだみそ株式会社
4代目 野田好成

1928年の創業以来、木桶・天然醸造での味噌作りにこだわる「のだみそ㈱(桝塚味噌)」の4代目。味噌屋の傍ら「手前みそのススメ」の代表として、味噌作り教室や食育プログラムを地元愛知や東京で毎月開催。

インタビュワー
藤田まみ

元小学校教諭のライター&オンライン講師、教育プロ8年目。主にSDGsや教育に関する記事を執筆。著書『ふだん使いのSDGs:自己肯定感ゼロから解放される!家事BOOK!』

まずは、野田さんからGood Good Martをご利用の皆さんへのメッセージをお届けします!

 

今回ご紹介する商品


「過去を変えない部分」を見極める味噌作り

のだみそ株式会社(桝塚味噌)は、どのような味噌蔵なのか教えてください。

のだみそ株式会社は、昭和3年に愛知県豊田市で創業しました。愛知で有名な「豆味噌」を主に作っています。

こだわっているところは「味噌を育てる」という製造理念です。蔵や木桶の世界を大切にしながら、味噌作りに努めています。

「味噌を育てる」とは具体的にどういう意味でしょうか?

「味噌を育てる」とは、木桶と天然醸造で手間ひまかけて味噌を作るという意味です。

実は、木桶で作られた味噌は日本全体の5%以下しかありません。扱っている木桶の数はうちが日本でトップだと思いますよ。私たちが求める味を生み出すために、木桶は欠かせません。

けれども、今はほとんどがステンレス製タンクで、速醸法という方法で作られているんです。速醸法とは、仕込んだ味噌を加温して発酵するやり方で、1〜2ヶ月あれば完成します。

たしかに伝統的なやり方は「時間がかかる」というデメリットがあります。熟成に1年6ヶ月〜2年かけて作っているので・・・。それでも野田味噌は木桶を使った天然醸造を守り抜いています。

2年はすごいですね。木桶で天然醸造された味噌と一般的な味噌では、どのようなちがいが生まれるのですか?

味の奥深さが全然ちがいますね。季節ごとの気温を生かしながら木桶で熟成されることで、微生物である麹菌や乳酸菌などの力がどんどん活性化され、味噌の深いうまみにつながるんです。木材なので使い込むほど微生物の種類も増えていくのが木桶のよさだと感じます。

たとえ、たくさんの手間と時間をかけてでも「風味豊かな味噌を届けたい」「昔から受け継がれてきた伝統製法を守っていきたい」と思っています。

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野田味噌さんが手掛ける豊田桝塚豆味噌Original生はどんなお味噌なんですか?

「豊田桝塚豆味噌Original生」は、当社がメインで作っている豆味噌です。大豆と塩だけで作っていて、地域によっては赤味噌や八丁味噌などの名前で呼ばれています。

一番のこだわりは原材料です。地元・愛知県で育てられた大豆を使用しています。できるだけ近い距離にいる生産者の方と契約栽培をしていることが大きなポイントです。

とはいえ、豆味噌は見た目が赤く濃いので「味が濃そうだな」「食塩がいっぱい使われていそうだな」と思ってしまいませんか?

はい、まさにそうです。あまり馴染みがなかったので、塩分が高いとずっと思っていました。

ですよね。実は、塩分は少ないんです。豆味噌の塩分濃度は10.8%で、一般的な米味噌は11〜12%くらい。実は見た目ほど食塩は使われていません。

でも「どうして、食べると味をしっかり感じるの?」と思いますよね。この理由はたっぷり使われている大豆に隠されているんです。大豆に含まれる「アミノ酸」にはうまみ成分がたくさんあるので、塩分が少なくても風味豊かな味を味わえます。

もしかしたら、これまで食べた赤味噌や豆味噌が「苦手だ」と感じたことがあるかもしれません。その原因は「渋みの強さ」だと考えられます。

「豊田桝塚豆味噌Original生」は、「渋み」「酸味」「うまみ」の3つが絶妙なバランスを保っているので、さっぱりとしていて食べやすいんです。

どのようにして、「渋み」「酸味」「うまみ」のバランスを調整しているのですか?

「渋み」「酸味」「うまみ」のバランスは、それぞれの味噌屋の個性といえますね。熟成期間や重石の重さなど、細部までこだわって作ることで生まれています。あとは、微生物の力のおかげもありますね。

私たちの手間と個性をかけ合わせた味は、愛知県外の方でも「食べやすい」と好評です。今まで豆味噌が苦手だった方からも「豆味噌の概念がガラリと変わった」「過去に食べたものと全然ちがう」という嬉しい声もたくさん届いています。

私もこの味噌汁を食べた時に、これまでの赤味噌のものより飲みやすくて驚きました。塩分も見た目ほど高くはないのですね。

あとは、「豊田桝塚豆味噌Original生」の香りをぜひ楽しんでほしいです。

商品名にもある「生」は「生タイプ」という意味で、加熱殺菌していません。どんな料理でも加熱するとやっぱり香りは飛びますよね。

生タイプは桶から取り出した味噌をそのままパッキングしているので、味噌の香りが残ったまま。味噌汁を作る瞬間に、とじこめた香りが一気にふわっと広がるんです。

味と香りの両方を楽しめるのはとても魅力的ですね。

海外からも親しまれる!インスタント味噌汁の誕生秘話

次は「Instant VEGAN MISO SOUP 即席赤だしおみそ汁」についてくわしく教えてください。

「Instant VEGAN MISO SOUP 即席赤だしおみそ汁」は「海外の人も美味しい味噌汁を食べてほしい」という想いから生まれました。

今までは、インスタントに限らず味噌汁のだしは鰹だしのような動物系が当たり前。しかし、ヴィーガンや宗教上の理由で食べられない人がいるという問題がありました。

さらに海外の方に食べてもらうためには、ただ味噌を渡すだけではダメだと気づいたんです。「お湯を注ぐだけで簡単に食べられるようにしよう」「動物性のものが食べられない人でも楽しめる味噌汁にしよう」という思いから、植物由来の食材にこだわって作った商品ができあがりました。

では、そのおかげで日本にいるヴィーガンの方でも楽しめる味噌汁になったということですか?

はい。結果として、味噌汁の選択肢が広げられたということですね。

とてもユニバーサルですね。

ピンチから生まれた?大人気の「こどものあわせみせ」

続いて「こどものあわせみそ」について教えてください。

「こどものあわせみそ」は、豆味噌と米味噌のブレンド味噌です。「豆味噌は色が苦手」「味に抵抗がある」などと感じる県外の人でも食べやすいと思います。米の甘みと豆の深みの相性が抜群なので、すごく人気の商品です。

よく「子ども向けに味を寄せているのですか?」「甘めの味付けにしているんですか?」と聞かれることが多いのですが、全然寄せていません。天然の力でシンプルに仕上げています。もちろん手抜きも一切していません。

「子どもたちにおいしい味噌を食べてほしい」という思いは創業以来から変わっていないですね。

こども用の味噌を販売しようと思ったきっかけがあったんですか?

きっかけはコロナで起きたフードロスですね。実は、愛知県の給食の50%に私たちの味噌が使われています。

2年前、コロナの影響で学校が3ヶ月間ほど休校になりましたよね。その時に給食用の味噌が大量に余るという大きな事件が起こったんです。

「どうしよう」と悩んだのですが、SNSで「余っている給食用の味噌を買ってもらえませんか?」と発信することに。

すると、地元だけでなく全国各地から温かいご支援をいただき、3ヶ月分をすベて捌けたんです。本当にみなさんのおかげで乗り越えられました。

それから、「給食のお味噌は野田さんのものだったんですね」「学校の味噌汁は飲むけど、家だと飲まないんです」「子どもがたくさん飲んでくれました」などというありがたい声をたくさんいただいたんです。

さらに「また販売しないんですか?」というリクエストも多かったので、トラブル解決から約1年後に「こどものあわせみそ」の販売を再開しました。

ピンチがチャンスになった商品ですね。

このピンチがなければ、「こどものあわせみそ」は生まれていなかったと思います。あの時はすごく大変でしたけど、多くの方のおかげで今となっては心に残る思い出に変わりました。

食育からみても、地元の食材を使った味噌は「地産地消」だからとってもいいですよね。

やっぱり「近くでとれたものを食べる」というのは食の理想だと思うんです。使っている大豆は、会社から車で20分、15分、近い場所なら3分で行ける畑で生産されています。

私たちの味噌をきっかけに「愛知県は自動車産業だけではなく農業も有名で、こんなに美味しい大豆や米を作っているんだ」という新しい魅力を、地元の子どもたちや全国の方に知ってもらえたらうれしいです。

老舗味噌蔵が教える!おすすめの豆味噌レシピ!

豆味噌を使ったおすすめの食べ方はありますか?

豆味噌は、味噌汁だけではなく、煮たり炒めたりする料理にもおすすめです。

愛知県は「味噌県」と言われるくらい味噌をよく食べます。名物料理の味噌おでん、味噌カツ、どて煮などにはすべて味噌が使われていますよね。

味噌は煮込むことで味が進化します。渋みがコクやうまみに変わって、より深い味わいになるんです。

だから、デミグラスソースやカレーの隠し味としても使えますよ。

さらに、油との相性がとってもいい。特に、ひき肉と味噌を炒めて作る肉味噌がおすすめです。麻婆豆腐やご飯にかけてもとってもおいしいですね。

「こどものあわせみそ」を使ったレシピも教えてください。

「こどものあわせみそ」にコンソメや中華だしを合わせることで、いつもとちがう味噌汁を楽しめますよ。

特に、コンソメ・トマト・ベーコン・卵を入れた洋風お味噌汁は絶品。色味もいいですし、煮込むことでトマトの酸味がうまみに変わるので子どもにも大人気です。

あと、キノコとの相性もいいですね。個人的に「豆味噌」と「なめこ」の組み合わせがお気に入りです。ぜひ、試してみてください。

味噌の保存方法で気をつけることはありますか?

基本的に冷蔵庫に入れて保管してもらえば、大丈夫です。すぐに使い切らない場合は、冷凍庫がおすすめですね。味噌は冷凍庫に入れても固まらないので。

「日本一おいしい味噌汁が食べられる県」にしたい

のだみそ株式会社の味噌作りへの想いを教えてください。

よりおいしいものを届けるために「変えていくべきこと」と「変えずに守り抜いていくこと」をしっかり見極めていきたいと思います。

子どもたちのために、愛知県を「日本一おいしい味噌汁が食べられる県」にしたいですね。

県外の人たちに対しては、豆味噌の魅力を知ってもらうために「直接お客様に会うこと」を大切にしています。おそらく年間2000〜3000人の方に会ってきました。顔を合わせることで、「味噌の個性」「知られざる味噌の魅力」を伝えていきたいです。

野田さんのおかげで私も食の幅が一気に広がったなと感じます。本日は「伝統を守り抜く価値」や「知られざる豆味噌の世界」をくわしく教えてくださりありがとうございました。

ありがとうございます。これからもがんばります。

最後にもう一度、野田さんからGood Good Martをご利用の皆さんへのメッセージをご覧ください!

 

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